構造安全性

 人の命を守る、財産を守る、それが、建築構造エンジニアの使命です。

 現在の構造技術は、決して完璧なものではありません。使用する材料は理想的な特性を有してはいません。設計や施工においてヒューマンエラーは避けては通れません。実験確認に頼った方法では、未知の構造上の弱点をすべて洗い出すことは不可能です。建築はひとつひとつがチャレンジです。

 このような、不完全な技術を使って、なおかつ、より安全な建築物をつくるための責任ある判断ができる、知識・洞察力を身につけること、未だに我々の能力を超えた未知の領域があることを理解できる謙虚さを持つこと、それが、建築構造エンジニアが真に学ばなければならないことです。

地震災害

 複雑な現代社会においては、地震は、現代都市で高度に集中した社会インフラに大きなダメージを与えます。たとえ死者数が少なくても。

 日本のように、莫大な社会資本を都市インフラに投資してきた成熟社会においては、直下型巨大地震は、我々の生活にとって、社会的・経済的に回復不能なほどのインパクトがあります。

 我々の社会と生活を守るために、地震の被害を正しく予測し、必要な対策を取るための合理的判断のもととなる信頼性の高い建築構造技術が必要な社会となっています。

建築構造を学ぼうとする諸君に知っておいて欲しいこと

Allen Lambert Galleria, Brookfield Place, Toronto, designed by Santiago Calatrava

Shiohara & Tajiri LabStaff.htmlhttp://www.rcs.arch.t.u-tokyo.ac.jp/main/Staff.htmlshapeimage_5_link_0
塩原・田尻研究室sutaffu.htmlhttp://www.rcs.arch.t.u-tokyo.ac.jp/main/sutaffu.htmlshapeimage_6_link_0

研究室の紹介

 本研究室では、数理モデルを使った建築構造物のモデル化を基本として、モデルの開発・検証を実験的・解析的に行い、より良い建築構造物の設計法の構築と社会への普及を目指す研究を行っています。精緻で細かなモデルもさることながら、実務設計者の役に立つシンプルで実用的なモデルの両方を目指しています。

 研究範囲は、柱・梁などの部材の設計から、構造物システム全体の設計までを対象としています。これらの観点から、既存の発想にとらわれない、新しい知を生み出すチャレンジを行っています。

 主な研究対象は、世界中で最も普遍的な構造方法の鉄筋コンクリート(RC)構造とその周辺の問題です。新築の設計と既存構造物の耐震改修を対象にしています。鉄筋コンクリート構造の技術は、耐震設計の分野で、歴史的に常に先導的な役割を果たしてきました。特に、耐震設計の発達で培われた地震応答解析の技術は、免震・制振技術の実用化への道筋を開きました。

卒業研究に取り組む意義

 本研究室が提案する卒業論文テーマは、現時点で社会的に解決する必要性の高い問題を厳選したもので、一人で解決するのではなく、大学院生と協力しながら問題の解決にあたってもらいます。最初は、選択したテーマに応じて問題解決に必要な知識とプログラムの使用方法などの基本的な知識を身につけ、問題の本質の理解に努めてもらいます。次の段階では、簡単な例題を解いて得られた知識が身についていることを確かめてもらいます。次にそれらで得られた情報や結果を一般化・総合化して結論を導きます。最後にそれらの結果を論文として書き上げるというプロセスを通じて、エンジニアが、客観的に人に伝えたいことをどのようにまとめるのかを実体験することになり、これらの体験は社会に出るための大きな自身となります。

 卒業生の主な進路は、研究者、ゼネコンの研究員、構造設計エンジニア等です。数理的な能力を生かして目に見えるものづくりを通じて社会に貢献したい皆さんを待っています。

建築構造のおもしろさとは