JSCA関西支部RC分科会拡大分科会

 関西支部のJSCA で講演会をしました。演題は「鉄筋コンクリート柱梁接合部の耐震性」– 見逃された接合部破壊の発見と影響 – です。聴講いただいた皆様ありがとうございました。 Structure Kansai No. 112, 2012.1 より記事を転載いたしました。


2011日本建築学会賞(論文)受賞所感

 この研究によって鉄筋コンクリート構造の耐震設計の常識を大きく塗り替える発見ができたことは、工学研究者として大変大きな喜びです。しかもその成果により、日本建築学会賞(論文)という栄誉がいただけるのは大変幸運なことであり、関係各位の御高配に深謝いたします。この機会に、ここに至る研究の道のりを簡単に御紹介しておきます。

 学生時代の鉄筋コンクリート構造は、実験式で設計法を作るのが主流の時代でした。私は恩師の青山博之先生と小谷俊介先生の指導の下に耐震補強壁の実験と解析を行うチャンスを与えられ、合理的な解析的なモデルを設定し、構造部材実験で検証し、そのモデルで設計式を考えるという研究スタイルの重要性を教えていただきました。その後建設省建築研究所に入りました。New RC プロジェクトが進められたころで、リーダーの平石先生の下で鉄筋コンクリートの研究を続けさせていただきました。プロジェクト期間の5年間はたいそう短く特筆すべき研究展開はなかったのですが、当時の部外研究員の岡功二さんや古川淳さんらと、じっくりと実験研究に取り組むことができたことは大きな収穫でした。大変信頼性の高い柱梁接合部破壊の実験データが得られ、この現象を解明したいというささやかな夢が生まれました。

 1995年兵庫県南部地震で被災した建物の柱梁接合部に被害があったことを知り、この夢の実現に向けた努力を始めました。1995年に東大の研究室に戻ってからは、助手の松森泰造さんや楠原文雄さんと実験を進め、一つのアイデアを暖め続けて行きました。研究の出口が見えず、このテーマは一旦中断しようと、それまでの結果を英文論文として発表したのが2001年でした。すると、翌年に突然ASCEからその論文に対してCroesメダルを授与するという連絡が届きました。世界のどこかで研究を評価してくれた人がいる。このテーマをあきらめてはいけないと思いなおしました。

 2007年にようやく解析モデルに関する3編の論文が完成し学会の論文集に発表しました。これをきっかけに、2008年から国土交通省の建築基準整備促進事業の補助を受けて計 60 体以上の柱梁接合部の実験を実施し解析モデルが正しいことを確認することができました。2010 年には、防災科学研究所のE-Defenseを使った実大4層RC建物の3次元振動台破壊実験に参画する機会に恵まれ、同12月に実施された加震実験で事前の予想通りに柱梁接合部の破壊を再現させることができました。本当に諦めずに続けてよかったと思います。

 最後に、ここに名前を挙げさせていただいた皆様、青山小谷研究室OBの皆様、建設省建築研究所の皆様、国土交通省の皆様、防災科学技術研究所の兵庫耐震研究センターの皆様、および東京大学の私の研究室に在籍した学生諸君のご理解、ご協力、ご支援に心からお礼申し上げます。



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